Brand Feature

DORE DORE

「脚はすべからく美しいストッキングを穿き、形の良いラインが映えてこそ、鑑賞に堪えられるものといえよう。そうでなければ、その脚には三文の価値もない」
16世紀、フランス・ルイ王朝時代の華麗なる宮廷生活を赤裸々描写し、当時の貴婦人たちの生活を現代に伝えた作家のブラントームが語ったこの言葉。ストッキングやソックスがお洒落や身だしなみに欠かせないアイテムとして、当時から重要な意味合いを持っていたことを如実に物語る一節です。
それから200年の時を経たフランス王政復古の時代、創業者で職人でもあったジャン=バプティスト・ドレが、靴下の製造をスタートしたのが、1819年。以来、専業メーカーとしてハイクオリティな靴下やストッキングを作りつづけるドレドレは、190年後の現在、フランス屈指の老舗靴下メーカーとして、不動の地位を築いています。
「フランスで高品質でお洒落なソックスといえばドレドレ」といわれるようになったのは、1910年代からスタートしたポップな広告キャンペーンによる効果が大きいといえます。特にその名を知らしめたのが、人気イラストレーターのGad(ギャド)を起用し、水平をキャラクターにした愛らしいイメージビジュアル。半ズボンにハイソックスを穿いたあどけない子どもの水平がドレドレのイニシャルであるDDともに描かれたポスターは、新聞広告や主要都市の街角で披露され、スタイリッシュなイメージを喚起するのに充分な効果を果たしました。
以後、ファッションの流行に合わせて、スポーティなアーガイル柄やフェアアイル柄、カラフルな配色ボーダーやシルクのストッキングなどが、ウイットに富んだビジュアルとともにキャンペーンに登場。一見、脇役に感じられるストッキングや靴下が実はスタイルの仕上げに重要なアイテムであることを、幅広く世に知らしめることとなったのです。
ドレドレが長年にわたって支持され続けるもうひとつの理由は、最高品質のコットンやウール、カシミヤを贅沢に使ったクオリティの高さにあります。特にメインの原料となるエジプト綿は、ナイル川で栽培された手摘みの綿花を使用するなど、原料の産地や収穫の方法までをとことんチェック。細部にまでとことんこだわる老舗の誇りが、穿いた時の心地よさをいっそうスペシャルなものにしているのです。
現在は、幅広いカラー・スタイルがチョイスできる「DD」を始め、ラグジュアリーな素材を使ったエレガントで洗練された「DORE DORE」、トレンドを意識し豊富なカラーバリエーションで展開する「ONE TWO SIX」の3ラインで商品を構成。幅広い年代でファンを獲得しています。
ところで、ヨーロッパでは昔から「恋人探しに靴下が重要」と言われているのを知っていますか?男性が女性を前にして脚を組み、靴下をちらりと見せたら、彼女に好意を持っているサインなのだそう。もしその靴下がドレドレのものだったら、お洒落に敏感な女性はすぐにOKしてしまうかもしれませんね。
Khadi and CO

「カディーとういう布は、もともとそのシンプルな佇まいに魅力があります。そのため、昔からそうであるように、とびきりのお金持ちや芸術家の身体を飾り付けるのと同時に、貧しい人々の肩にもぴったり合うのです」マハトマ・ガンジー (ジャーナル・ヤング・インディア誌 1927年)
ブランド名にもある「カディー」は、ヒンズー語でカッダルと呼ばれ、紡ぎ綿花を使って手織りした布を指します。インドでは何世紀もの間、職人や小作人によってこの布が織られており、地方により柄や風合いが異なるのも大きな特徴です。1915年の独立運動の際には、マハトマ・ガンジーが植民地支配の反対シンボルとしてカディーを使用。素朴な一枚の布がインド独立の象徴となったのも歴史的に有名な話となっています。デザイナーのベス・ニールセンはデンマーク生まれ。コペンハーゲンでアートを勉強した後、1970年代にはパリでモデルとして活躍。そんな彼女がインドに行き、カディーと運命的な出会いを果たしたのが今から30年以上前。初めてインドに行き、現地の人や文化に触れた瞬間、その虜になったそうです。「最初はインドの伝統的な色使いや民族模様に、正直それほど強くは魅かれていませんでした。でも、人々や文化に魅せられてパリとインドを行き来している間に、徐々にそれらの織物の素晴らしさに気がついたのです。シンプルな織り機で一枚一枚手作りで作られる素朴で温もりのある布のなんて素晴らしいこと!
それからは好きな事をしているうちにあっという間に時間が過ぎ、現在まできているような気がします。」
その後もベスはたびたびインドを訪れ、1998年に機械紡ぎで色鮮やかなプリントのスカーフやショールをつくる「エピス」をパリで設立。手紡ぎ&手織りにこだわった「カディー&コー」を設立したのは、それから7年後の2005年のことです。
「現在は主に西ベンガル地区の名もない小さな村で、先祖代々織物をしている40人ほどの職人と一緒に仕事をしています。村とはあくまでフェアトレードで、それらが村の収入源となっているのはとても幸運なことだと思っています。彼らとは一緒に日々、新しい織り方を発見しながらデザインを考えているのですが、教えたり、教えられたりといった関係の中で、予測不可能な結果が生まれるのがすごく楽しいです。」
新作は常にベスのインスピレーションの赴くまま、新しい試みをほんのちょっと加えて完成するのだそう。今シーズンは、いつもより色彩が豊かで、多色使いのマドラスチェック柄などなど、バリエーション豊富なラインナップが充実し、特に今シーズンは繭のようにふっくらした風合いが他にはない触感を生み出す、エリオポール別注色のカシミヤ100%のストールが特におすすめだといいます。
「まだ頭の中で考えていることだけれど、いつの日か大好きなインドのドキュメンタリー映画を撮りたいと思っています。」
ベスのインドへの愛は永遠に果てることがないようです。
aetheree

フランス発の「アエテレ」は、アジア系スイス人ぼリリン・ヴィレザーヌと、フランス生まれのアドリアン・エスカラヴァージュのデザイナーデュオによる新進気鋭のブランドです。ともにパリのエスモードでファッションを学び、「着る人に可能性を与えるような服を作りたい」というコンセプトのもと、2006年にブランドをスタート。コレクションを発表するたび独自のノンシャランなスタイルが話題を呼び、2009年春には第8回「東京発 日本ファッションウィーク」が主宰する新進デザイナーの登竜門「シンマイクリエーターズプロジェクト」の招待デザイナーとして来日。東京でランウェイショーを披露するなど、国内外でその才能に注目が集まっています。
2人のクリエーションベースになっているのは、「タイムレス(=永く)&ユニバーサル(=誰にでも着られる)&ベーシック(=普遍的な)な服」個性的ではあるけれども、着る人の個性を奪ってしまうのではなく、強調していく服というのが彼らの服づくりのフィロソフィです。ハイクオリティな素材が織りなす質感にゆったりとしたデザインがマッチし、一見シンプルにみえて、よく見るとてデテールにこだわりが見え隠れするテイストは、着る人を選ばない自由さが感じられます。
2009-10年秋冬のテーマは”hommes en boite”。フランス語を直訳すると”箱の中の人”ですが、哲学的な意味深なフレーズに込められた真意を、デザイナーのひとりであるアドリアンはこう語っています。
「今の時代はヒップホップやストリートスタイルなど、身につける服が「スタイルX」と型にはめ込まれがち。僕らはそこからいい意味で外れた服を作りたいと思ったのです。スタイルを決めつけられる服でなく、着る人のスタイルに合わせられるようなコレクション。実際に僕たちが作る服とは真逆の意味を、言葉で表現しているんです。」
今シーズンから、全コレクションの20%を、Transformable(形が変化する)仕様にしているのも、アエテレならではのユニークな試みのひとつ。ジャケットにタスキがついていてショルダーバックになったり、ワンピースがシャツになったりと、クールなアイディアが、コレクションに斬新さを加えています。「このアイディアは昔からあったんですが、形になったのは今回が初めて。ただ、少量生産ながら低価格で高品質なものを作ってくれる工場を探すのは大変でした。今回は初めて日本の生地を使っていることもあり、日本のみなさんにもぜひ私たちの服を着てみて楽しんで欲しいですね」“Shinmai Dress”や”Akiko Pants”など、日本の生地を使ったアイテムにはキュートな日本語の名前がつけられ、それらはデザインしたリリン本人もお気に入りのアイテムとのこと。いつもはスイスのアトリエで、自分たちのペースでモノづくりをしているという2人は、ともに 1980年代生まれ。新しい感覚のデザイナーデュオの活躍にこれからも目が離せません。
zissou

素材でナチュラルな木底に、一枚革で甲をシンプルに覆っただけのサボは、ころんと丸みのあるフォルムがとっても愛らしいサンダルです。もともとオランダの木靴(クロンペン)をベースに作られ、70年代のフォークアルックやヒッピームーブメントでキーアイテムとして人気がブレイク。現在でも、そのキュートなルックスで人気は衰えを知らず、今やレディースサンダルの定番的存在といってもいいほどです。
イタリア・ジェノバを本拠地とする「ズィスー」は、1920年代から60年代にかけて、コートダジュールにエスパドリーユで一大旋風を巻き起こしたシューズブランド。その生みの親となったのが、19世紀から20世紀にかけて世界を駆け巡った、ジャコモ・ボニーノとうジェノバの裕福な商人です。
商人であるジャコモもがシューズを扱うようになったきっかけは、スペインに寄港したジャコモが、現在のエスパドリーユの原形となる「エスパルト」に出会ったことから始まります。ジャコモは、丈夫なキャンバスを甲部分に使用しソール部分が雑草で作られたシューズに瞬く間に魅了され、自分の子供たちを実験台として履き心地やフィット感を注意深く観察。なにごとにも深く考察するというジェノバ人気質が幸いしてか、改良点をスペインへ航海した際に職人に細かく指示し、色鮮やかなキャンパスを甲に配したエスパドリーユを完成させます。
その成功によって得た富でモロッコのアルジェで購入したのがブランド名にもなった貨物用の帆船「ズィスー」号。
創業者のジャコモが常に語っていた「美しさと快適さ、そしてなによりもシンプルなこと」という信条は、今日もなお、ズィスーのすべてのシューズに息づいているといえます。
現在、ズィスーのメインアイテムとなっているサボは、春夏はもちろん、冬にはムートンを使ったブーツやデザインサボをリリースするなどバリエーション豊かに展開。加えて、ズィスーのサボが他のブランドと大きく異なるのは、アッパーの革と木のソールを留める釘を、今でも1本1本手作業で行っているということです。熟練した職人がハンマーを使ってひとつひとう作っていくサボは、まさにクラシックでオーセンティック。シンプルなデザインだからこそ、その手作り感と素朴さが他のブランドには見られない味になっているのです。
もうひとつ、ズィスーが意識して取り組んでいることのひとつが、世界中でも関心の高い環境問題です。木底の原料に、工場のあるトスカーナ地方で原生しているレッドアルダーという広葉樹を使うことにより、原料の配送にかかる二酸化炭素の排出量も抑制。加えて、レッドアルダーは加工しやすい上に成長が早く、広大な面積に自生しているので、二重の意味で環境に優しい原料といえます。
昔ながらの技術を今に伝える伝統と革新的な思想、フレッシュな感性が築く不変の新しさ。ズィスーのサボには創業者ジャコモ・ボニーノの 自由なスピリットが今も息づいています。
agathe st bel

パリの中央を流れるセーヌ川を、上流から下流に向けてみた左岸(リヴ・ゴーシュ)は、知的でモダンな雰囲気が漂うシックなエリア。有名な作家や文化人が集ったサンジェルマン・デ・プレを筆頭に、ソルボンヌがありアカデミックなカルチャーが根付くカルチエラタン、1950年代にヌーヴェル・ヴァーグの左岸派が集まったモンパルナスなど、点在するカルチエそれぞれがスタイリッシュ。洗練された街の風景は、右岸の賑やかさとはまた違ったパリの表情をみせています。
2009年春夏から「アガトゥサンベル」をスタートしたデザイナーのアガトゥポール=デュパスは、そんな左岸で生まれた生粋のパリジェンヌ。幼い頃から両親や祖母の影響でアートや建築に触れ、左岸の空気をめいっぱいに感じながら成長した彼女。グスタフ・クリムトやピュヴィス・ド・シャヴァンヌ、トゥールーズ・ロートレックなど、グラフィック性の強い画家の作品に魅かれるという持ち前の美的センスに加え、自宅にさりげなく飾られた絵画や彫刻が、彼女に特別な影響を与えたのはいうまでもありません。
「パリの日常で好きなことは、光、カフェの喧騒、道行く人々、ブティックのウインドウディスプレイなど。パリは美しいカルチャーを持つ素敵な街です。私はサンジェルマン・デ・プレ界隈のアンティークショップによく行くのですが、 ヴォルテール岸、ボナパルト岸通り、リール通りなど、生きたデコレーションのようなカルチエ全体の雰囲気が大好きです」
そんなアガトゥが生みだすコレクションは、左岸のエスプリを盛り込んだイージー&シックなアイテム。6区にあり人々の憩いの場所として有名なチュイルリー公園での散歩をイメージしたという今秋冬は、シックでありながらカジュアルさも兼ね備えたスタイルが充実。パリの街を闊歩するにふさわしいコートやドレスが愛らしいディテールとともに仕上がっています。
「服作りに関しては、まずは自分自身が着たいと思うものからインスピレーションを受けるので、周りの環境はとても大切です。とはいっても、モードに対する視点はベーシックでクラシック。基本となっているのは、着る人の個性をいかしながら女性を美しく装わせること、美しく見せることなのです。」
アガトゥサンベルの描く女性像は”自由で変わらないスタイルを持つ女性”ともアガトゥは語る。ミューズはフィッツジェラルドの小説のヒロインのようなシンプルで雰囲気があり、高級でエレガントだが、簡潔なスタイルに価値を置く女性・・・・まさにパリジェンヌのお手本となるような姿が浮かび上がってきます。自身も現代のパリジェンヌのリアルライフを体現し、追求していく希有な存在でもあるアガトゥ。フランス人の人生の信条でもある「アール・ド・ヴィーブル」をモダニティあふれるスタイルで表現する、新世代の女性クリエーターの登場です。